真珠浜は、九寨溝にある湖の中でも比較的に広い石の浜です。花石海の下流0.5キロメートルの、日則溝内の鏡海の上方に位置しており、海抜は2433メートルあります。澄みきった湖水は、絶えず勢いよく流れ、それが扇形をした乳黄色のトラバーチン(石灰質が堆積した沈殿岩。堆積によって美しい模様を生み出すことがある)の隆起にぶつかり、無数の水しぶきを生じさせています。陽光の下で、水しぶきは透き通るようにきらきらと輝き、一粒一粒が真珠のように跳ねるため、この浜は「真珠浜」という名前が付けられました。真珠浜の誕生は、伝説によれば、色嫫女神と九寨溝の悪龍とが戦っている時、悪龍が女神のネックレスを引っ張り、散り落ちた真珠が地面についたため、美しい真珠浜になったと言われています。
実は、この浅瀬は幅が160メートル、全面積が9.5万平方メートルで勾配が平坦なため、石灰の沈澱、堆積と独特的な「生物カルスト」という地形と互いの影響を受けて、きわめて小さい孔質の穴が河床に遍く行き渡るようになっています。水がこのくぼみに隔てられ、「真珠」のように昼も夜も休まないで跳ねている景観を生み出しています。桟橋が一本真珠浜にまたがり、橋の下では黄色い蘚苔が透き間なく繁茂しています。このユニークな浜に身を置けば、「とうとうたる銀花を足で踏む、数万ヘクタールの真珠を胸に抱く」かのようなこころもちを楽しむことができます。
真珠浜の東側には、九寨溝で最も特異なカルシウムの滝――「真珠浜の滝」があります。急激な水が真珠浜の斜面にしたがって200メートル程前に流れると、崖にぶつかり深い谷に落ちます。この滝は高さが21メートル、幅が162.5メートルで、最大の落差が40メートル程です。谷底の傍らから仰ぎ見ると、滝のてっぺんが、三日月が青い天に埋め込まれているように見えます。湖水が天から流れ落ち、深い淵に注ぎ込んで、艶やかな谷の中で水しぶきを起こします。落水の音がとどろき、谷川が沸きあがるといった雄大な壮観で、気力がみなぎります。天幕のように切り立った断層から垂れ下がり、まるで勢い盛んな「千軍万馬」のようで幽谷では大自然の壮美と威勢を示しています。
真珠浜滝は、九寨溝に最も美しい景観のひとつとして観光客が集まるところで、風の音、水の音、森の音と鳥の鳴き声とが自然のアンサンブルを生み出しています。訪れた人々は、知らず知らずにこの調和的な環境の中に溶け込み、本来の素朴な状態に戻り、リラックスした感覚を楽しむことができます。湖、トラバーチン、滝、浜、流水などの景色が並存し、九寨溝風光の個性と特徴を生み出しています。真珠浜は、九寨溝の風景の絶妙な縮図であるとも言われています。