五花海は孔雀川の最も上流に位置し、日則溝エリアの中心的な観光地です。標高が2472メートルのところにある水深の平均が5メートル、総面積が7.68万平方メートルの湖です。最高にすばらしい景観だと称えられる五花海は、とても神秘的で「九寨溝の魂」とも言われ、九寨溝を代表する景観ともいえます。湖底には石灰化した堆積物と多種な藻類や水草、枯れた木などがあり、日の光の反射や屈折によって赤やオレンジ、黄、緑、青、藍、紫などさまざまな色が混じっているように見えます。色とりどりで華やかで美しいです。湖面はまるで無数の宝石が嵌め込まれた巨大的な飾り物のようです。岸辺の林や湖底の倒木と湖の色が互いに引き立てあっていて、その美しさといったら比較できるものがないほどです。そのためこの湖は「五花海」と名付けられました。
九寨溝にある100個ほどの湖の中でも五花海は変化に富んでいるので「九寨精華」と高く評価されています。秋になると、五花海周辺の景色と入り混じり、緑の松、赤い櫨、褐色の杏、黄色いしなの木などの多彩な木の葉ともあわさり、その景色はまるで織物のようです。青い空、白い雲、緑の草、色鮮やかな森など人間の手では描くことのできない色が湖に投影され、湖の景色に優美な姿を加えます。そよ風が湖面に波を打たせ湖底に堆積する木の枝と幹や、石ころが転がっているようです。色鮮やかで目が眩むばかりです。五花海は生命力を持って飛び跳ねているようです。山の中腹の虎嘴観景台から見ると、五花海はまるで羽根がいっぱい生えた孔雀のようです。波打つ部分は孔雀の羽根のように色鮮やかなので五花海はまたの名を「孔雀海」とも言われています。
華やかな五花海は多くの謎に包まれています。冬になると、標高が高く気温が低い所にある九寨溝では、他の湖がすべて凍るにもかかわらず、五花海だけはかつて一度も凍ったことはありません。この神秘的な湖は現地の人々に畏敬されています。現地の人によれば五花海は神鹿の化身で、チベットの人にとっては「神の池」とされています。五花海の水の流れるところは、どこでも植物が生い茂るようになると言われています。2008年、アメリカの有名なネットランキングで評定された「世界の十大の湖」のうち五花海は「最も人を引き付ける魅力ある湖」に挙がった中国唯一の湖です。