九寨溝で聳え立っている山に、巨大な岩が一枚あります。この岩は高くて大きく、表面が滑らかで、まっすぐ天に伸びています。その形が明るい鏡に似ているので、現地の住民によって「宝鏡岩」と名付けられました。宝鏡岩の観光エリアは札如溝口の北側に位置していて、九寨溝風景区に入るためのプロローグとして認められています。溝口から蓮葉寨まで全長が6キロメートルで、他に「葦の海」、「迎客松」、「盆栽瀬」などのスポットもあります。
高さが800メートルもある雄大な「鏡」は天高く聳え立ち、岩の壁が刃物や斧で削られたように滑らかでつるつるしています。遠くから眺めると、大きい衝立のようです。この石の崖が一切の妖怪変化を映すことができると言われています。本来九寨溝の山の主である扎伊扎噶さんの宝物でしたが、九寨溝以外の鬼が溝内に入り、生物を害することを免れるために、九寨溝に入るのに通らなければいけない溝口の所この宝鏡を置きました。また、九寨溝内108の湖に騒ぎを起こす邪悪な龍を鎮圧し、人々は安心して楽しく暮らせるように働いています。
すばらしい伝説ですが、実は、宝鏡岩は地滑りや地殻表層の差異運動、及び地震などの地質活動によって出現しました。大量の石灰岩石層が次第に滑り落ちて、この雄大な崖になりました。日は高く、陽光がさんさんと降り注ぐたびに、岩の壁が輝くようになり、観光客も仙境に身を置いているいう意識が高まります。現地のチベット族の人の心の中では、宝鏡岩が聖地で「神の山」だと認められています。
山頂には短い髪と立派なひげを持っている巨人がいて、はっきりとしないですが、彼の目、耳、口、鼻が見分けることができます。言い伝えによれば、ここは山の主扎伊扎噶さんの化身です。毎月の十五日、九寨溝および周りのチベット族民が参拝に来ます。宝鏡岩の対面では古い歴史を持っている苯教(チベット仏教の宗派)の寺――「札如寺」があります。札如寺は西暦762年に建立され、「前殿」、「経書楼」、「楽台」、「茶屋」、「迎客楼」と貯蔵室などの建物は、チベット族の寺の建築様式と特色が強く現れています。水を真髄して注目される九寨溝では、宝鏡岩と札如寺がお互いに引き立てあい、絶妙のコントラストをなし、九寨溝の多様な「情景」を現出しています。