画像石とは宮殿・墓の前の祠堂(しどう)、墓室の壁や柱、お寺などの石に、さまざまな技法を用いて彫刻を施したもので中国の芸術品の一つになっています。
彫刻のしかたには陰刻(いんこく)と陽刻(ようこく)があります。陰刻は山東省肥城県孝里舗の孝堂山(こうどうさん)の祠堂、陽刻は山東省西部の紫雲山の麓にある武氏石室に施されているものが特に有名です。一般的に宮殿、墓などは儀式を執り行う所のため、画像石は祭祀にかかわる芸術品だと考えられています。画像石は特に漢の時代に広まりました。前漢の半ばに使われ始め、前漢末期から後漢末期にかけ盛んになり三国時代には一時衰退しましたが隋や唐の時代にもまだ残っていました。
画像石は主に中国の黄河の流域、山東省、河南省、四川省で発見され、一部は河北省、江蘇省などにも広く分布しています。中でも山東省の画像石が一番多く、計1000枚を超えています。 これらの画像石には、当時の庶民たちの豊かな生活や古くから伝わる説話、宴席と調理場の様子、猟をする一場面などの日常生活から歴史、伝説など様々なものが彫られています。ほかにも戦争の光景や当時の祭祀の様子、墓主(墓に埋葬された人)が邸宅から外へと出かけてゆく姿が描かれています。その内容は幅広く、色々な角度から当時の社会制度、風俗習慣、生活の状況などを映し出しています。
また画像石は当時の生活や風景が詳細に描かれており、風俗や信仰、経済などを知る上で重要な手掛かりになっています。このような理由からも画像石やその拓本は大変貴重な芸術品であるといえるでしょう。
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