貝彫は、色とりどりの貝殻を材料とし、貝殻の形状や光沢、模様、そして色を巧みに活かし、整形、研磨、接着といった10以上の工程を経て作られる中国の伝統工芸品です。主に屏風、家具、建築物の装飾品として使われています。貝彫は貝殻の天然の美しさ、彫塑技法の素晴らしさ、中国画の格調の高さを兼ね備えています。
起源と発展
貝の殻は約5万年前の上洞人の頃からアクセサリーとして使われてきました。秦漢の時期には、職人は螺鈿の技法を生み出しました。螺鈿とは、貝殻の色合いや模様などを生かして、鳥、獣の図案を彫りだしてから、銅器、鏡、屏風、テーブル、椅子などの表面に嵌め込む装飾様式です。
宋、元の前後には民間でも螺鈿をはじめとする貝彫芸はとても盛んになり、その種類も各種の装飾品から文房具、喫煙具といった生活用品にまで装飾がなされるようになりました。解放後から1970、80年代にかけて、貝彫職人は伝統的な技術を継承した上で、象牙細工、玉彫、木彫り、中国画といった他の芸術工芸の技術をも吸収し、より技術的に進化した工芸品を作り出すに至りました。
貝彫に使用される貝は、ヤコウガイ(夜光貝)、シロチョウガイ(白蝶貝)、クロチョウガイ(黒蝶貝)、カワシンジュガイ(青貝)、アワビ、アコヤガイなどです。
貝彫の詳しい作り方は以下の通りです。
1.まずアイデアを練り、下書きします。 題材は中国の庭園風景や草木・花鳥・昆虫・獣などです。
2.貝殻を磨き、切り出し、彫り、形を整えます。これは準備段階です。
3.デザインに応じて万能接着剤で貝殻同士を接着します。
4.嵌め込むための穴を土台に開けます。通常、接着剤だけでは不十分なため鉄線を用いて貝同士を結束しておきます。
5.磨き上げます。接着する前後に作品を研磨して高低を調整します。
中国では、貝彫の産地は遼寧大連、山東青島、広西北海、広東陸豊、江蘇連雲港などです。特に中国の貝彫工芸の発祥地である大連の貝彫は、題材も幅広く、内容が豊富で、構図も精巧です。独特な風格を持っており、国内外の観光客に人気があります。
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