「束河」は、ナシ語で「高い峰のふもとにある村」という意味です。束河古鎮は、麗江古城の北西、約4キロ離れたところにあります。ここはナシ族の最も古い集落の一つであり、かつて茶馬古道の要として栄えた町です。古鎮は標高2440m、面積約5平方km、中心保護区域1平方km、ナシ族を中心に約千世帯、約3000人が暮らしている昔ながらの村落です。ここはまた麗江古城、玉龍雪山、瀘沽湖、長江第一湾と三江併流など、各名所の中継地であり、麗江観光のコアエリアと位置づけられています。
古鎮内には涌き水を集めたせせらぎが流れ、入り組んだ路地にも気持ちを和まさせられます。軒を繋ぐ古民家、一面の田んぼ、昔の佇まいが残るのどかな風景に、日常を忘れた癒しのひとときです。町からは、北は玉龍雪山、南は象山、文筆峰を望め、四季折々の美しい景色は、まるで桃源郷そのものです。町には二つの湧き水があり、その一つは九鼎竜潭と呼ばれます。生い茂る垂れ柳に囲まれた潭(ふち)は、玉龍雪山の雪解け水が溜まって出来たもので、水が澄みきり、鮮やかな透明感の高い水中に小魚の泳ぐ姿がはっきりと見えます。天然良質の湧き水は、三本に分かれて村に入り、家屋の前、畑のほとりを流れ、村人はその水を使い米を研いだり、野菜を洗ったり、洗濯をしたり、昔懐かしい姿を残しています。
九鼎竜潭のほとりに、清の時代に建てられた「三聖宮」がひっそりと建っており、優美な造りで装飾華美な古建築です。鬱葱とした木々や潅木の奥にかすかに見える軒反り(のきぞり)に、いっそう幽深静寂の雰囲気を覚えます。
「青龍橋」へ足を運ぶと、青龍河が轟々と流れ、川のほとりでは柳の枝がそよそよと揺れています。軒を繋ぐ古民家は、自然の丘や水路に沿って作られ、更に、黛色の瓦と白い壁の家屋の間には、網の目のように石畳の小道が町中を巡り、田園風景にうまく調和しています。
束河古街にある「大覚宮」は、明の時代の古建築で、中に明代の壁画が残されており、「白沙の壁画」と同じく重要文化財です。
束河古鎮は、「清き泉の里」と譬えられ、麗江古城とともに世界遺産に登録されました。「麗江古城の縮図」と言われる古鎮は、麗江と同じ名前の四方街が中心の1km四方ぐらいの小さい町です。束河の四方街は、長さ33m、幅27mの小さな繁華エリアで、水路をせき止めて水を路上に溢れさせて街全体を洗うことも見所です(深夜と早朝らしい)。明代から行われているようで、麗江四方街もこのようでした。こうした街づくりは、麗江古城研究の参考にもなるようで、整然とした町並みに磨り減った石畳は、かつての茶馬古道重鎮の面影を感じさせます。
束川古鎮(白沙一帯)は、ナシ族最初の居住地であり、木氏土司(この地を統べていた地方豪族)の発祥の地です。現在は観光化していますが、数軒の旅館や素朴なカフェ、レストランしかありません。玉龍雪山の雪解け水で淹れたお茶は如何でしょうか!古き良き風情はお茶と同様、素朴で濃厚な味わいです。長閑な田園生活と美しい景色に憧れ、世界中の人々は、心の桃源郷を求めてここに訪ねて来ます。