「泥塑」は中国の伝統的な民間工芸品で、長い歴史があります。日本語では「泥人形」と言います。泥を原料とし、人物や動物を形作ります。着色した泥塑は「彩塑」と呼ばれています。中国の「泥人形」の起源については、4千-1万年前の新石器時代までさかのぼることができます。漢代になると、「泥人形」は主要な芸術品のひとつになりました。唐代は「泥人形」にとって芸術発展のピークに達しました。宋代まで発展を続け、それ以後も宗教を題材とした大規模の仏像は繁栄し、小型の泥人形のおもちゃも進化を遂げ始めました。現在でもなお、泥人形、特に小型のものは人気があり中国各地至る所で作られています。その中でも江蘇省無錫恵山、天津の「泥人張」、陕西省風翔県、河北省白溝鎮、山東省高密市、河南省浚県、河南省准陽県、北京などの泥人形は有名です。
作り方泥人形用の泥は一般的に粘性のあるきめの細かいものが使用されます。泥の粘り気を強くするため、綿花、蜂蜜などを加え、また何回も叩き、捏ねます。それから、彫ったり、捏ねたりして、形を作ります。形が出来上がったら、直射日光を避けて、自然乾燥で完全に乾かします。十分に乾燥したら、窯にいれて700度前後で焼き上げます。窯から出して冷ました後、泥人形に磨きをかけ、色付けします。
流派清代以降、中国の泥人形は北方、天津の「泥人張」と南方、江蘇省無錫の「恵山泥人形」の二派が代表的です。「泥人張」は天津泥人形の開祖の張明山のことを指します。その作品は極めて写実的かつ精緻であり、人物の造型や喜怒哀楽の表情がリアルに表現されています。恵山泥人形の歴史は明代初期にさかのぼり、約400年あまりの歴史をもっています。そもそも恵山泥人形は、江蘇省に伝わる江南劇「昆曲」の人形を作ったことに端を発しています。恵山泥人形はおおまかに精貨(工芸品)と粗貨(大衆用)の2種類に分けられます。典型的な作品は、幸せの象徴であるまるまるとした童「阿福、阿喜」です。表情が素朴で色彩が美しく、そのためとても人気があります。この他にも、陕西省凤翔県、河北省白沟鎮、山東省高密市などは庶民の泥人形の重要な産地となっています。
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