磁器

　磁器とは、長石やカオリンなどの原料を用いて作られ、表面に釉薬や彩色を施した器です。原料を合わせてから窯で高温（およそ１２８０～１４００度）で焼成してはじめて、磁器は成形するようになります。表面にかけられた釉薬の色は、焼成温度によって様々な色に変化します。焼成された磁器の白地には３％弱の鉄族元素を含み、陶器と異なり水を通しません。比較的安価に製造できることや、摩擦や水に強い性質も相まって、現在、磁器は世界中で広く用いられています。

　中国の磁器は陶器からうまれたものです。 原始磁器は約3000年前に生まれました。中国古代の漢族の賢人は、白陶と模様の刻まれた硬質陶器を焼いていた経験をもとに、磁器を焼成する技法を生み出しました。宋代は、磁器産業の最盛期で、当時の汝窯、官窯、兄窯、钧窯、定窯（窯の名前です）は「宋代の五大名窯」と呼ばれていました。元代には、磁器の都と称される江西省景徳鎮市で「青花」と呼ばれる染付磁器が生まれ、磁器の名物として名高いものになりました。

　青花磁は、釉質が白く光沢があり、素地は薄く精巧で、玉のように真白な白地に藍色の絵付けを施し、清楚でいて活気に満ちています。青花磁は、世間に登場した途端に人に親しまれ、景徳鎮の伝統的で代表的な磁器の女王になりました。

　現在、有名な磁器の産地として、江西省景徳鎮市、河北省唐山市、山西省長治市、広州市石湾があります。上述の産地では、伝統的な工芸技法と現代的設備を通じて、さまざまな優品が焼かれています。他にも、河南省禹県の钧窯、湖南省醴陵の紅磁、浙江省龍泉の青磁などが磁器の産地としてよく知られています。