浙江省は中国の東南沿海部、長江デルタ地帯に位置し、東には東シナ海、南に福建省、西に安徽省と江西省、北に江蘇省と上海市を有しています。この地域最大の河川は「銭塘江」で、銭塘江は蛇行が激しかったので、之江、浙江と呼ばれていました。そのため省の名を浙江、略称は「浙」といいます。省都は杭州市です。浙江省の面積は104141平方キロメートル(2010年)で、人口は5442.69万人(2010年)。中国の中で面積が最も小さく、人口の密度が最大の省です。ここに住む人々はほとんど江浙民系(漢族)です。その中で呉語(蘇州方言)を話す人は全省の総人口の98%以上を占め、一部分の人は福建方言、徽州方言、官話などを話しています。
歴史
5万年前の旧石器時代に浙江には原始人であった「建徳人」が住んでいました。春秋時代になると呉国、越国に属し、戦国時代には楚に属していました。秦始皇帝によって統一され、会稽郡が設置されました。三国時代には東呉の領域に入っていました。唐代には浙江東西両道が置かれ「浙江」という名が使われるようになりました。五代十国時代にはここに呉越国が成立しました。北宋には両浙路の管轄区域に入られていました。そして南宋時代になると臨安(杭州)は南宋の都となりました。元代には浙江行省に属し、明には浙江布政司がおかれ、清代には浙江省と名が改まりました。
地形
浙江省の地形は丘陵、山脈、盆地が総面積の70.4%を占めています。浙江には会稽山、雁蕩山、普陀山、天台山、四明山など有名な山があります。西南に1000メートル級の山が連なり、その中でも龍泉の黄茅尖は全省で最高の高さを誇る峰で海抜は1929メートルあります。この他にも曹娥江、銭塘江、甬江など有名な河川があり、杭州の西湖、寧波の東銭湖、紹興の鏡湖、嘉興の南湖などの有名な湖もあります。中には中国で最大の人工湖――千島湖があります。湖の面積は約26万平方キロメートルで、沿海には舟山列島など約3千の島々が点在し、ここは国内でも最も島嶼が多い省です。
気候
浙江省は亜熱帯季節風気候に属し、四季がはっきりしており日照時間も長く、雨量も十分です。水資源は全国第4位で林業の資源も豊富で、孟宗竹の生産量は全国でも上位を占めています。木の種類は多く、昔から中国の「東南植物宝庫」と言われ、ここにある「生きた化石」と言われるイチョウなど50余種類の野生植物が国家の珍奇保護名簿に載っています。また漁業資源も豊富で舟山群島は中国で最大の海洋漁業基地です。
文化
浙江の文化は典型的な「中国東南文化区」で、呉越文化が中心です。文化は輝かしく名勝旧跡が多いので「文物の故郷、旅行の聖地」と称賛されています。紹興の越劇と調腔、寧波の平調、嘉興の影絵芝居、杭州の杭劇などの戯曲はとても有名です。2006年に寧波市寧海県の平調は第1回目国家級の無形文化遺産に登録されました。工芸品もとても有名で、例えば「朱炳仁」や銅彫り、東陽の木彫り、西湖の絹織傘、桐廬の切り紙細工などがあります。
観光名所
浙江には観光名所がたくさんあり、中でも国家級の観光地は127か所、国家自然保護区は65か所あります。西湖、千島湖、雁蕩山、普陀山、天台山、四明山、双龍洞、横店の映像城、大佛寺、烏鎮、蘭亭などは有名です。杭州、寧波、紹興、衢州、金華、臨海の6つの国家級の歴史文化都市もあります。
特産品
浙江の特産品には嘉興の肉粽、杭州西湖の龍井茶、金華ハム、臨安のクルミ、紹興の黄酒とウイキョウ豆、寧波の団子と臭冬瓜、奉化のスイミツトウ、富春江の鰣魚などがあります。
浙江の基本情報
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中国語名: 浙江
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ピンイン: zhè jiāng
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位置:華東
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省都: 杭州
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エリア: 101,800 平方 km
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人口: 5116 万