白水台は、雲南省シャングリラ県南東の三壩郷白地村に位置し、シャングリラからの距離はおよそ100キロ、標高2380m。石灰分を豊富に含む地下水が湧き出し、長い年月をかけ棚田状の大地を形成した美しい景勝地として知られている場所です。総面積は約3平方キロ、中国で最大の石灰華段丘と言われています。白水台はナシ族語で「スプズ」と言い、段々大きくなる花の意味です。伝説によれば、天神はナシ族に耕し方を伝えるため、この段々畑を作ったと言います。白水台は「仙人が遺した畑」とも呼ばれる所以です。
白水台の中央には、繋がった十数個の池に透き通った池水がたまり、とても綺麗で「天池」と呼ばれています。水中の石灰分が沈積してできた純白で綿雪のような段丘は、千枚田のように一段一段、下へ広がり、中の炭酸カルシウムの結晶はキラキラと輝き、素晴らしき銀色の世界を彷彿とさせます。池群のやや左に、新月のような水溜りがあり、油を流したように水は滑らかで静かに溢れ出し、仙女の鏡台と譬えられています。更に下には、妊婦に見える真っ白い石があり、現地では生殖の神として崇められているようです。白水台の周囲では樹木が茂り野花が咲き誇り、変幻自在に空を行く雲と山と白水台棚田の青く澄んだ水のコラボレーションは、まさに絶景!遠くから眺めると、透き通った清流は、宛ら巨大な漢白玉(重厚な白色が美しい大理石)の彫刻のような白水台の表面を、こぼした牛乳のように流れ落ち、見事で壮観な景色です。
白水台向かいの上柏峰の麓に鍾乳洞があり、大昔は竜神を祭る場所でしたが、トンパ教の教祖丁巴什羅の弟子「阿明什羅」はここで修業したことから、「阿明霊洞」と称されています。象形文字「トンパ文字」は、阿明什羅により、ここで誕生したと言われています。白地村から東へ少し歩くと、高さ60mの白地滝が目に入ります。谷川が勢いよく流れ落ち、息をのむ美しさです。
綺麗な景色だけでなく、白水台はトンパ文化発祥の地としても知られています。「トンパ教の聖地」なる場所だけに、宗教活動や民俗の行事が数多く行われています。言い伝えでは、トンパ教の教祖?丁巴什羅がチベットから仏教を習い帰る途中、ここの美しい景色に惹かれて、壇を設けて布教したそうです。毎年旧暦2月8日に、ナシ族の伝統祭り-「朝白水」が行われ、各地からナシ族の人々がここに集まります。歌や民族舞踊、ピクニックなどで賑わい、来年の豊作を祈ります。
白水台は温暖多湿な気候に属し、年平均気温は11.4℃、迪慶(デチェン)高原の人気ある景勝地です。チベット族、ナシ族、ペー族、リス族などがここで暮らし、特色ある民族文化、民家、民族衣装、飾り、民芸品なども見逃せません。