上海市の豫園、城隍廟など誰もが知っている観光スポットから道ひとつ隔てたところにある文廟は人ごみと車の騒音から離れ、古代上海の人材育成のための最高教育機関です。
文廟の概況
文廟(孔廟とも呼ばれる)は元の時代から建て始められ、700年の歴史深い文化遺産を持っています。上海の旧市街(文廟路215号)に位置し、上海の都心部にある唯一の儒学聖地です。
正門は棂星門と呼ばれています。棂星は天田星を指し、漢の高祖はこの星を祭っていました。天候に恵まれ、庶民が穏やかな生活を過ごせるように祈っていたそうです。宋代以降、儒家は孔子を天としたため各地の文廟と儒学聖地では棂星門が正門になっています。
元の時代から清の末期にかけて、ここから多くの人材が輩出されました。宣廊の壁には上海戸籍の科挙試験合格者合計279名の名簿が刻まれています。名簿には名前、合格日と官職も含まれています。
文廟内部
文廟
文廟内部の上海城隍廟の中に祀られている神様は元末期から明代初期の士大夫秦裕伯です。(元の時代の至正四年進士になった)彼は秦少游の七世の孫、元代末期の進士で、上海あたりではとても威信がありました。そのため明太祖も何度か彼に打診をし、自分の家臣にしようとしましたが、彼は「一臣は二主に仕えず」という理由で断りました。秦裕伯が亡くなったのち、明太祖は詔勅を下り、「秦裕伯は生きている間は私に仕えてくれなかったが死んでからは城郭と領土を守ってくれ」と書き残しました。そして秦裕伯は上海鎮守の神と崇められるようになりました。そのほかには中国の有名な科学者であり学者であった徐光啓は明代万暦32年に進士になりました。
大成殿は孔子を祭る正殿で、文廟の核心的な建物です。高さは14メートル、敷地面積は260平方メートルあります。中には孔子の神棚と像が安置されています。内壁には「論語」が彫刻されていて、上海の書家、劉小晴氏によって楷書で書かれており、「論語」の全文は16400あまりの字が52枚の青石板に刻まれていて、大成殿の四方の内壁に掛かっています。字体はスマートで美しいです。稀に見る逸品として知られています。
入学試験が近くなり、ここが普段とは違い、にぎわいを増す頃になると祈願のカード、木に覆われた赤いリボンなどの「天罰てきめん」のイメージがあります。
古本市
そのほか明清時代の本屋をイメージした文廟の東北方向にある古本市は上海でも有名です。毎週日曜日には境内で開かれている古本市をまわるのも上海文化人の習慣です。そこでは書籍、定期雑誌、新聞やコミック本など様々な種類があります。新旧様々なものがあります。値引き交渉をしてから買うのは一般的です。本は比較的に安く、ときどきなかなか他では見つからないようなものも見つけることが出来るようです。
年中行事
毎年年末になると上海文廟には縁日のように鐘を突き、祈願する人が多く訪れます。学生たちは学問の神である孔子像を前にして希望を感じ、勉強する決心をします。これぞまさに中国の優秀な伝統文化の表れです。文廟の大成門広場では大道芸が行われ、明倫堂広場でも文芸演出が催されています。儒学部の茶道館には茶道の展示もあり、尊経閣広場ではなぞなぞが出されるなど様々な活動が昼夜通して行われています。
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入場料:日曜日古本市:1元、文廟の拝見料:10元、子どもは5元
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開場時間:9:00 - 16:45
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交通アクセス:バス11、955、18、23、24、43、218、537号線、地下鉄8号線、9号線、10号線など