歴史と文化
陝西省は、中華文明の誕生した土地の1つと言えます。陝西省に関して、その長い歴史について触れないわけにはいきません。1963年に藍田原人の化石が発掘されたことにより、およそ110万年前に既にこの地域に古代人類が住んでいたことが知られるようになりました。西安市東部で発見された半坡遺跡は、6,000~7,000年前(新石器時代)の母系氏族社会での生活の様子を明らかにしています。興味のある方は西安半坡博物館(先史時代の遺跡発掘現場をそのまま保存、展示している中国初の博物館)を訪れると良いでしょう。また、今から5,000年ほど前に、漢民族の遠い祖先である炎帝(神農)と黄帝が彼らの部族をまとめ王朝を興したのは、ここ陝西省の北部地域なのです。農耕の始まり、漢字の創設、シルクロードでの交易…、これらは全て陝西省の輝かしい古代文明を示しています。陝西省の歴史や文化、中国の古代文明に関心がおありでしたら、陝西歴史博物館に是非お立ち寄りください。
陝西省は、中国の革命の歴史の上でも重要な役割を果たしました。中国共産党の紅軍は、1935年に陝西省延安市に到着し、長征(1934~1936年に国民党軍や地方軍閥との間で起きた内戦。紅軍は、江西省瑞金から陝西省延安までの1万2500kmにも及ぶ転戦を強いられた)を終えました。こうした道のりを経て、中国は抗日戦争(1937~1945年)や解放戦争で勝利を収めたのです。
秦腔と皮影戯
陝西省には、秦腔と皮影戯という2つの伝統芸能があります。
秦腔は、清の時代(1616~1911年)に生まれた伝統劇で、中国政府の定めた無形文化遺産リストにも登録されています。秦腔は、中国の他の伝統劇の原形と考えられています。陝西省の秦腔、北京の京劇、四川省の川劇では、役者の顔に施すメーキャップがそれぞれ異なっています。
2,000年という長い歴史のある皮影戯は陝西省起源の人形劇で、大変愛されています。人形は牛皮や紙の板で作られており、それを演者がスクリーンの背後で操ります。物語にあわせてBGMや効果音も奏でられます。観衆は、スクリーンに映った人形の影を楽しむのです。