ラサ旅行の注意点
ご存知のとおり、チベットは特殊な地域ですので、基本的に外国人はチベットに行く前、チベットの入域許可証(入蔵許可書)を取る必要があります。中国政府の規則ではチベット入境許可証は旅行者個人の申請はできず旅行社を通し団体ツアーに参加することで申請できます。弊社ではチベットツアーを申し込まれるお客様の入境許可証の申請も承っております。最低条件として、ラサでの滞在期間全てにガイドを付けることと、空港までの往復送迎をお申し込みいただければ手配できます。お客様のニーズにあわせたオーダーメイドツアーもご提供しています。
規定により、毎年の中国春節から三月までチベット入境許可証を手配できません。ご了承ください。
チベットは中国の南西部にあり、平均標高4000メートルの高地にあります。古来よりここに住みついていたチベット人の先祖は長い歳月をかけ、チベット高原に散在していた多くの部落を統一し、現在のチベット族になりました。チベット人の多くは農牧業を生業とし、羊やヤクを飼ったり、ジャガイモやアブラナを栽培して生活を営んでいます。チベットはその独特な地理と自然に恵まれた秘境であり、さらにはチベット仏教の聖地でもあるゆえ、世界各国の旅行者・巡礼者とっての憧れの地でもあります。ただし、チベットは開発された他の観光地とは異なるため、訪れる際には必ず事前にチベットに関する知識を身につけ、準備しておく必要があります。
チベット旅行のベストシーズン:4月~10月
旅行に最適なシーズンは、4月~10月です。その中に、6月から9月まで(7月と8月が混雑)が一番いい時期だとされております。チベットは乾湿の二つの季節に分かれ、乾季は9月から翌6月までとなり、その間降水量が少なく、都市部にも雪があまり降りません。この間は非常に乾燥している上に、強風の日も多く、ひとたび風が吹くと砂は舞い上がり石も転がるほどで、目も開けることができず、歩くことすら困難になります。乾季が終わる6月から9月までの間はチベットの湿季で、毎日のように雨が降りますが、不思議なことに雨は夜にしか降りません。夜になると、小雨がしとしとと降り始め、大雨になることはなく、降水時間も長くありません。この間チベットでは酸素濃度が高く、温度も最適なので、チベットを旅行するのには最も適しています。
チベットの交通アクセス
現在、山岳地帯奥地のメトク県(墨脱県)を除き、すべての県及び県下の77%にあたる町や集落の道路整備が進んでいます。ラサを中心に青蔵公路、川蔵公路、滇蔵公路、中尼道路を幹線とする交通網も形成されました。
1956年にラサから北京までの空路が開通した後、現在までにラサから成都、西安、蘭州、上海、広州などの都市とを結ぶ国内線と、ラサからネーパル、カトマンズを結ぶ国際線も開通しました。ラサ交通案内
チベット仏教
チベット人の多くはチベット仏教を信仰しています。イスラム教を信仰するチベット人はわずか2000人程度、カトリック信者は約600人にすぎません。
疾患や症状を抱える人は高原旅行に不向きとされる
医療の専門家によりますと、以下に述べるような疾患や症状を抱える人は高原旅行に不向きとされ、特に標高3000メートル以上の地域においては大きなリスクを伴います。各種の心臓病、血液病、脳血管の疾患。
慢性的な呼吸器系疾患および慢性閉塞性肺疾患のある方(例:気管支炎、気管支拡張症、肺気腫、肺結核、塵肺)。重度の風邪、呼吸器疾患、体温が38度以上、或いは38度以下であっても呼吸器系の症状が明らかである方については、治癒するまではチベットを訪れないほうが安全です。
肝臓、腎臓、脾臓とおよび内分泌系の疾患のある方、または重度の消化器系疾患(例:重度の消化器潰瘍、慢性肝炎の活動期)、妊娠中の女性などは高いリスクを伴います。高原に入った経験のない方は、渡航前に必ず健康診断をされることをお勧めします。ひどい貧血や高血圧の方は、高原環境への適応力が低いため、入境後に急性高山病にかかる確率が高く、長期滞在時にも様々な慢性高山病にかかりやすくなります。
高地に入る前、準備しておくべき事項
① 過去に高地を訪れたり、滞在した経験のある人が周囲にいるならば、アドバイスをもらってみてください。そうすることで心の準備ができ、過剰な緊張も避けられます。
② 高地に入る前、呼吸器系疾患に感染しないように、しばらくお酒とタバコを我慢してください。疲労を避け、十分休みを取り体力を温存してください。セイヨウニンジンを適当に食べ、酸素の欠乏に耐えられる機能を向上させるとされております。呼吸器系の症状があるのであれば、治るまでチベットを訪れないほうが安全です。
③ 精神の安定も高山病を克服する妙薬です。落ち付きと自信は自律神経の正常化を助け、高山病によって起こる一連の症状を和らげることができます。それに対して、気が小さく心配性の人は大脳の酸素消耗量も多くなるので、かえって高山病にかかりやすく、苦しさを増す一方で、症状の改善を遅らせてしまいます。
④ 高地に入った経験のない方は、事前に必ず健康診断を受診してください。貧血症や高血圧症を抱えている方は絶対に油断してはいけません。
高地に入ってからの注意事項
①できれば携帯用酸素ボンベと高山病を予防する薬を携行することをお勧めします。
②高地では気温が低く、朝晩の温度差も激しいので、風邪を引かないように充分な防寒の可能な服を用意してください。寒さと呼吸器系疾患によって急性高山病を発症するおそれがあります。
③もしも高地に入る途中でひどい高山病にかかった場合はすぐに対処し、高山病の薬を飲んでいただきます。症状が深刻な場合は、酸素を吸入してください。
④バスでの移動は長時間に及び、移動による体力の消耗も大きくなりますので、水、飲料と消化しやすい食べ物を充分に持っておくことをお勧めします。
高山病
高山病のかかりやすさ、症状の軽重は人によってそれぞれ違いますが、実際に行ってみないと分からないとよく言われています。体の弱い方でも高山病にならない人もいるし、健康そうで体力がありそうに見えても発症する人がいます。症状の程度もそれぞれです。一般的には、細い人は太い人より、女性は男性より、背の低い人は背の高い人より、若者は年寄りより高山病にかかりにくいようです。平地から高地に入った場合に発症する、高山病の主な症状には以下のようなものがあります。
①脈拍(心拍数):平地での脈拍数の正常値は約72回/分、これが高地に移動すると80~90回/分にも上昇し、100回以上/分に達する人もいます。しばらくして慣れてくると、元の正常値に戻ります。
②呼吸:大気中の酸素濃度が薄くなる高地では、まずは呼吸が激しくなり、体内酸素の欠乏が深刻化するにつれ、呼吸はさらに荒くなり、呼吸困難になります。体が酸素濃度に慣れてくるとだんだん症状が軽くなり、自然に消失します。
③血圧:平地にいる時、血圧の正常範囲は上が110- 120mmHg、下が80 mmHg以下とされております。高地に着いてしばらくは、血圧反射機能と体液の影響により、血管が収縮し、血圧も上昇します。これは人体の正常な反射によるものなので、時間の経過とともに血圧は正常範囲に戻ります。
④神経系:中枢神経系は特に大脳は酸素の欠乏に極めて敏感です。酸素が欠乏してくると、神経系全体は興奮して、緊張、敏感になり、やがて頭痛、目眩、不眠、健忘などの症状が発症します。高地に入ったら、興奮状態から抑圧状態に変わり、嗜眠(意識混濁)、無表情、鈍感などの症状が発症します。稀に意識を失い、昏睡状態になる方もいますが、低地へ移動することで回復します。神経系の症状は心理状態と深い関係があります。高山病を必要以上に怖れ、動揺する人は症状が激しくなるのに対して、落ち付いている人は症状が軽く済みます。
⑤ 消化器系:高地に入ると、消化腺の分泌と胃腸の動きが鈍るため、食欲不振、下痢、便秘、腹痛などの消化器系の症状として現れます。これは時間の経過とともに回復できます。
もしも長期間症状が続く場合には、医師にご相談ください。高山病の予防法としては、二か月前からランニング等で走ることでり呼吸器を鍛えておくことも有効です。
到着後の注意事項
①高地に着いた直後は、個人差は多少ありますが、誰でも息切れ、呼吸困難などの酸欠状態に陥ります。しかしこれによって高地に適応できないと断言するのは早計です。多くの場合、2~4日が経てば先述の症状は改善或いは解消することができます。
②飛行機で高地に移動してきた場合は、到着から12~14時間後に発症しますので、自覚症状がないからと初日から動きまわったりせず、ベッドで安静にしておくことをお勧めいたします。
③酸素を吸入することによって、呼吸困難の症状を和らげることができます。しかしこれは息切れ、呼吸困難などの症状を一時的に緩和しているにすぎませんので、酸素吸入を止めてしまうと症状は再発し、結果として高地に適応する時間までも伸びてしまうことになります。症状が深刻ではない場合は、敢えて酸素の吸入を我慢することによって、早く高地の環境に適応できることでしょう。
④疲労と体力の消耗を避け、食事をしっかり摂ることは重要です。高地に入ってからの数日間は、風邪をひかないよう、できるだけシャワーを控えたほうがベストです。
⑤高地に滞在する間は、最低限の活動にとどめ、疲れを溜めないように心がけましょう。
⑥特に注意すべき点は、時間が経過しても高山病の症状が軽くならず、逆に進行し続け、特に安静にしていても症状の改善がみられない場合は、ただちに酸素吸入をして、医師にご相談ください。
⑦スポーツなどで心肺機能が鍛えられ、体力に余裕のある人は、高山病による症状は軽く、短時間で回復できます。しかしそのような方でも油断は禁物で、5000メートル以上の高地に入ると、突然発症する恐れもあります。
紫外線対策について
チベットの大半は高地に位置し、極度に乾燥し、酸素濃度も薄いため、平地とは比較にならないほどの強烈な紫外線に晒されます。紫外線強度は標高が100m高くなるごとに1%増加するとされます。標高4000メートルのチベットの高地では、日本の東京の1.4倍もの紫外線が降り注ぐ計算です。そんな環境下では目や皮膚にとって大きな試練となります。女性はもちろん男性も、事前にサングラスや日焼け止め、スキンケア用品などの紫外線対策グッズを準備しておきましょう。
①帽子:紫外線を広範囲に遮ることができる、つばの広い帽子を被りましょう。
②サングラス:高地の強い日差しと紫外線は目に障害を起こす恐れがあり、帽子に加えサングラスを併用することを勧めます。チベットでは氷雪に覆われた環境が多く、照り返しも強烈です。そんな環境下の日差しの中で、サングラスも帽子も持たず数時間を過ごせば、雪目(雪盲)になりかねません。雪目とは、雪に反射した紫外線で目の角膜・結膜が炎症を起こし、痛みが走ったり腫れ上がったり、目が開けていられなくなったりする現象です。重度になると視力低下を起こすこともあり、注意が必要です。紫外線をカットできるサングラス、できれば横からの光の侵入も防げるタイプがお勧めです。
③コンタクトレンズを使用されている方は、使用を避けるか眼鏡に替えることをお勧めいたします。チベットではあちこちで埃が舞い、衛生状態がよくない場所もありますので、極力コンタクトレンズを使用しないことが好ましいです。もしどうしてもご使用になりたい場合は、使い捨てタイプをお勧めします。
④日焼け止め:SPF15以上のものをお勧めします。また日焼け止めがその効果を発揮し始めるまで少し時間がかかるものがあります。ご使用になる日焼け止めの説明書をよくお読みになり、用法・用量を守って的確にご使用ください。
⑤リップクリームと鼻腔用の薬:高地では非常に乾燥しているので、肌や粘膜が敏感な方は鼻血や唇の荒れが起こる恐れがあります。リップクリームと鼻腔・粘膜に使えるクリームや保湿薬、トローチやのど飴などを携行し、粘膜の保護と症状の改善に使います。
⑥顔パック:果物と野菜を多めに摂食するほか、肌を保湿する顔パックも持っていたほうがベストです。滞在中は毎日顔パックをご利用されることをお勧めします。
⑦熱中症の予防:高地の日差しと乾燥は恐ろしく、特に夏場に長時間屋外にいる時は危険です。高地の乾燥地帯では脱水が早く進むため、咽の乾きを自覚したときには、体内では既にかなりの脱水が進行していることになります。咽が乾く前にこまめに水分補給することと、汗で失われるミネラルを補うために適度な塩分も摂るようにしましょう。
衣類
高地では昼夜の温度差がとても大きく、夜間早朝の気温は低いです。一般に標高が1000メートル上昇すれば、温度は6度下がるとされていますので、防寒に気をつけることが大事です。夏でもチベットの暗い寺院に長くいると肌寒さを感じますから、コートやセーターが必需品です。