徐悲鴻の旧居は、陽朔県「前街」にある県役所の向かい、漓江側にあります。この家は、徐氏が広西省に避難した際(1935-1938)、李宗仁氏(りそうじん)(中華民国の軍人、政治家、国民政府の軍人で、新広西派の主要な指導者の1人)が彼に贈ったものです。
旧居は直列に配置された3つの家屋からなり、外は白塗りの外壁、紺色の小瓦、黄土色の軒、正門屋根の下には呉作人氏の手書きによる「徐悲鴻旧居陳列館」の横額と、その横には「徐悲鴻旧居」の大理石碑があります。奥の庭まで足を運ぶと、高さ10メートルほどのハクモクレンの巨木が見えます。二人で両手を広げてやっと届くくらいの幹の太さで、傘をさすかのように茂り、その花の香りは人を酔わせるといわれています。
徐悲鴻旧居の見どころの一つであるこのハクモクレンの木は、徐氏が初めて桂林に来た時の悲しみや隠居した後の平穏さ、そして寥文静氏(徐悲鴻の妻)との恋、また徐氏が絵を描いた時や天空を見つめていた時の大いなる気概を見守って来ました。
旧居の陳列室は三間取りの煉瓦と木でできた平屋で軒は栗色をしています。陳列室は、徐氏の生活ぶりを忠実に再現しています。また、徐氏の生涯を写した写真も展示されています。徐氏の「漓江春雨」、「ありえようか道をゆく」、「鶏が鳴き止まない」などの名作はここで生まれたと言われています。今日、旧居は、桂林市の重要文化財として保護されています。
人物紹介:
徐悲鴻「じょひこう」(1895-1953) 江蘇省宜興県生まれ、中国で著名な洋画家であり、美術教育家、民族解放運動に身を投じた愛国主義者でもある。彼は中国絵画に西洋画の技法を取り入れ、デッサンと油絵に水墨画の趣を加えた独自の画風を打ち立てました。作品には、優れた技法と民族的特色の融合が表れています。