中国華南地方に位置する湖南省は、省内を南から北へと流れる湘江にちなみ「湘」(シャン)という別称でも呼ばれます。「湖南」省という名前は、この省が、中国3大湖に数えられる洞庭湖の南側に広がっていることから名づけられました。湖南省は、東を江西省、西を貴州省、南を広東省と広西チワン族自治区、北を湖北省と接しています。
東西南部の山地と北部の長江に囲まれた湖南省は、水墨画に描かれた景色そのものの張家界市の風景など、風光明媚な大自然に恵まれています。また、湖南省は、中国の近現代史上で果たした大きな役割でも知られています。毛沢東(中華人民共和国の初代主席、建国の父)や曽国藩(清末期の軍人、政治家)などの優れた人材を数多く輩出するなど、湖南省は中国の歴史に大きく貢献しました。
湖南料理は「湘菜」と呼ばれ、濃厚かつクリーミー、酸味と唐辛子風味で知られています。湘菜スタイルのアヒル料理はお勧めの一品です。
見どころ
湖南省博物館では、漢の時代(紀元前206年~紀元後220年)の馬王堆漢墓や、商の時代(紀元前1675年~紀元前1029年)や西周の時代(紀元前1029年~紀元前771年)の青銅器など、豊かなコレクションが展示されています。湖南省の辿ってきた歴史について理解を深めることができます。
湖南省はその景観の美しさでよく知られています。何と言っても外せないのは、世界遺産にも登録されている武陵源景区でしょう。壮大な岩山の頂、瑞々しい湖沼、サラサラと流れる小川、緑に覆われた木々…。石灰岩が浸食されてできる鍾乳洞はカルスト地形の特徴で、無数の奇岩の見られる黄龍洞も有名です。また、湘江に浮かぶ小島である橘子洲も湖南省の観光ポイントとして知られています。
湖南省には数々の名所、旧蹟が残されています。宋の4大書院の1つである岳麓書院は、1000年以上の歴史をもつ中国最古の私塾です。韶山市は毛沢東の出身地で、多くの人が毛沢東故居(生家)や毛氏宗祠(毛氏一族の祖廟)などを訪れています。また、湖南省には古い町並みも残されています。山々に囲まれた悠久の鳳凰古城、滑らかに流れる沱江のほとりの沱江古城などは、ほっとした休日を過ごす最適な訪問地と言えるでしょう。
湖南省には、回族、トゥチャ族、ミャオ族、チワン族、満州族、トン族、イ族、チベット族など、多くの少数民族の人々が生活しています。山江鎮のミャオ族の集落などに赴けば、ミャオ族の住まいや衣装、習俗、民謡や舞踊に触れることができます。芦笙会や情人祭といった伝統的な催しにあわせて訪れると良いでしょう。
湖南省の基本情報
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名称: 湖南
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ピンイン: hú nán
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位置: 中国華中
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首府:長沙
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人口: 6850万人
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面積: 211,800 平方 km